第61回のテーマは「スケッチ 建造物を描く」

絵・文 地球・絵手紙ネットグループ
特別講師:亀田由紀子

遠近法と明暗(光と影)





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 建造物(建物)を描く場合、遠近法 (上図)を知っておくと良いと思います。あなたの目から見える真っすぐの横の線が水平線となり、そこから上の線は下に、下の線は上に一点 (消点) を目指していきます。縦の線はいつも垂直です。但し絵手紙では定規などは使いませんし下書きもしません。
 正確でなくて構いませんのでゆっくり線を描いて下さい。かえって不安定な線の方が温かみを醸し出します。もし遠近法が難しいと感じたときは、建物の正面や建物の一部(寸景)を探せば、遠近法をあまり気にしなくて描けます。 建造物には必ず光と影ができています。影を描き加えると立体感が出ますので、よく見て色や線を使って描き加えてみて下さい。 

土蔵


土蔵

 犬の散歩で偶然この古い土蔵を見つけ、壊される前に描きたいと思っていました。川和町は明治から大正にかけて神奈川県の都筑郡役所があり、とても賑わっていたと聞きます。建物の温かさを表したくてダーマートを使い、斜め横から描きましたので、遠近法も意識しました。蔵だけでなく手前に立ち入り禁止の柵やラバコーンを描き、現在置かれている蔵の状況がわかるようにしました。

蕎麦屋

 いつも車で横を通るのに、まだ入ったことのない横浜陸運局横のお蕎麦屋さんです。昔からある地元に根付いた定食屋さんのようで、入口横の満開のムクゲの花がお店の雰囲気を盛り立てていました。これは正面から描いたので、あまり遠近法を気にせずに誰でも楽に描け、初めての人にはお勧めの構図です。建造物を描く場合、どうしてもグレーや茶の色を使うことが多くなりますので、その中に花などきれいな色を入れると画面が明るくなります。細かい線が描き込める鉛筆(4B)を使いました。


蕎麦屋

生コン工場


生コン工場

妙遵寺

 いつも行くマーケットの近くに、こんな生コン工場があってびっくりしました。工場のスケールと威圧感に圧倒されながら、この迫力を少しでも伝えたくて描きました。右のセメントサイロは遠近法を意識し、また全体的にグレーの色ばかりなので、色調を少しずつ変えながら描きました。ちょっと話を聞いた従業員さんもしっかり描かせてもらって、無機質な工場の風景がちょっと温かくなった気がします。
 余計なことですが、コンクリートを作っている場所は画面右側の描けなかった部分にあります。

妙遵寺

 ここは我家から一番近いお寺で、大晦日には除夜の鐘が聞こえてきます。いつも横を通っているのに、ここの本堂(文政五年築)の屋根がこんなに立派だったことを、今回初めて知りました。昔からの神社仏閣は構造が複雑なこともあり、描くのは難しかったりもします。そういう時こそ寸景を描くことをお勧めします。実はこの屋根は高い塀から姿をのぞかせていた部分です。複雑すぎてよくわからない部分は、影を入れたり適当に省略したりして描きました。手前に大きな柳の木があり、屋根の一部を隠してもらいました。

地下鉄駅


地下鉄駅

 地下鉄なのに何故か駅が高架になっています。実際のひまわり畑はもう少し右側にあるのですが、寄せて一緒に描きました。画面の手前に木や花などの近景を持ってくると、建造物を描くのが楽になりますし遠近感も出ます。


東名横浜青葉インターチェンジ

東名横浜青葉インターチェンジ

 新しい首都高と繋げる工事をしているこの場所は、迫力満点、コンクリートの塊がカーブしていく様は美しくもあります。構図や遠近等が一番難しかったモチーフでした。グレーの色を何色か使い分け、工事中の道路の足場やネットはブルーにしました。無機質な感じがしたので手前に人物を入れました。橋脚の大きさも伝わります。

文章

 文章は、場所の説明よりその時感じたあなたの気持ちを書いて下さい。何故その場所を選んだのかを考えれば、自然に言葉は出てきます。絵の隅に場所を書くのもいいでしょう。

最後に

 今回は建造物ということで、寸景ではないものもありますが、スケッチはまず寸景から始めましょう。対象物の一部分を描く寸景スケッチの方がハガキサイズに合っていますし、描くのも楽だと思います。もちろん、慣れたら遠景も描いてみて下さい。絵葉書にあるような構図ではなく、あなただけの描きたい場所と構図を見つけて下さい。それが見つかればその絵手紙は半分以上出来上がったと同じです。さあ、絵手紙セットを持ってワクワクする場所を探しに行きましょう。

地球・絵手紙絵ネットグループ会報 「絵てがみの心」より抜粋(無断転載を禁じます)



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